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2009年1月22日 (木)

ツムラ乳頭物語

気付いたわ。うすうす勘付いていながらも見ない振りしていた、おどけてぼかしていた。
俺、乳首デカいわ。確実にデカい。言ってやった。ついに言ってやった。
結構勇気を持って告白したつもりなんだけどそうでもなかった。IMEのほうがすごかった。

「俺、乳首で会話」

その発想はなかった。ちょっとした個人の秘め事を入力してみたらそれを超える告白、爆弾発言。

僕の悩みなんてなんてちっぽけなものだったんだろう。Tシャツを一枚出来たら乳首が浮くから絶対に二枚重ね。二枚重ねてパーカー着てたのにそれでも浮いていた。とか第二次性徴の際に乳首が痒くて掻いてたらデカさ故に影響が大きく、乳首が取れそうになっただとか

乳首が浮いているのを人に見られるのが恥ずかしいため人前に出るのが怖くなり学校は不登校になり退学、毎日毎日乳首が引っ込むように押し続けるが一向に成果が見られない。どんどん溜まっていく乳首フラストレーション。

それが和らぐのは心を許せるのがメス犬やメス牛、メス羊などデカい乳首を丸出しにしている動物、通称乳首動物とすごしている時のみ。

どんどん乳首動物に依存していく雄介。メス牛を眺めては俺の乳首なんて大した事ない。あいつの乳首の方が凄いことになってるじゃないか。丸出しですし。と自分を慰める雄介。

同じ乳首が目立つもの同士としての共感から寄り添っていた雄介と乳首動物だったのだがいつしか雄介はあいつらに比べれば俺の乳首なんて小さいし。と優越感を感じるようになっていた。そして優越感を感じるために乳首動物を集めるようになっていた。

どんどん集まっていく乳首動物たち。その動物たちは田畑を耕すために使われたり牛乳が生産されたりヤギの乳でチーズを作ったり観光資源として利用され一大観光地となり「乳五郎王国」と呼ばれるようになった。そしていつしか雄介はカリスマとなっていた。

カリスマとは呼ばれていてもいまだに人とは接することの出来ない雄介。

みんなが寝静まった深夜、いつものように乳首動物に会い、僕の乳首はまだマシだと自尊心を慰めようとする。そのときに雄介は見てしまった。母牛が子牛におっぱいをやっているところを。母牛の乳首は子供におっぱいをやるために発達していて大きいのであって雄介のようにただ無駄に大きいわけではないのだ。

今まで見下してきた、動物たちは実は自分よりも遥かに有能なものだった。雄介は自分の中の何かがガラガラと音を立てて崩れていくのを感じた。それとともにすべての乳首動物たちを解き放っていた。

翌朝おきてくる従業員たち。みなすぐに気付く、乳首動物たちがいないことに。

毎日毎日世話を続け愛情を持って育てていた乳首動物たちがいない。それぞれに王国内を走り回り探すがどこにも見当たらない。見つかったのは呆然と立ち尽くしている乳首のデカい一人の男である。

「もしかして、あれ、乳五郎じゃない?」

「まさか、いや、でも…」

騒ぎ立てる従業員、騒然とする王国内。今まで誰も見たことのなかった乳五郎、みなが憧れ、慕った乳五郎はただの乳首のでかい男。そして王国にはもう乳首動物はいない。

「俺はこんなやつのために働いてたのかよ。やってられねぇよ」

従業員の真一はそう言ってその場を後にした。そして一人、一人とその場を立ち去りそこに残るものは誰もいなかった。

一晩ですべてを失った乳五郎こと雄介。前と同じ引きこもり生活だが見下すことによって雄介の精神を支えていた乳首動物はもういない。何の希望もない。雄介は、死を決意した。

そのとき、ドアをノックする音。幼馴染の香織の声がする

「雄ちゃん、いないのー?閉じこもってたら気が滅入るよー」

「うるさいな、帰れよ」

王国が崩壊した後でも香織だけは変わらずに接してくれた。いや、王国が出来る前から一貫して明るく接してくれる。そんな香織に雄介はひそかに思いを寄せていたが自分に自信の持てない雄介は邪険にしてしまっていた。

「そんな事いわないで、買い物にでも行こうよ」

明るく誘う香織、だが雄介は死を決意している。もういい、ありがとう香織。俺が死んでも幸せにな。そんなことを思っていた。

「死ぬ!?何言ってんのよ雄ちゃん!死ぬなんて言わないでよ」

何でわかったんだ?雄介は言葉を発していない。なのに香織は考えていることがわかったようだ。超能力でもあるのかと不思議に思っていたら、暗く閉ざされていた部屋の中がぼんやりと明るくなってきた。なんだ?何が明るいんだ?とあたりを見回しても光を放つものなど何もない。ふと下を見ると乳首がパァっと光を放っている。

「うわぁ」

大きな声で雄介は叫んだ。

「どうしたの雄ちゃん!?入るよ!!」

「ダメだ!入るな香織」

そんな雄介の声をさえぎるように香織はドアを開け入ってきた。そして目にした。乳首の光る雄介を。

「どうしたの…?」

何が起こっているかわからないという顔だ。雄介にも何が起こっているかわからない。説明のしようもなくあたふたとするのみだ。

「急になんだ、不思議だね。痛かったりはしないの?そう、痛くはないんだ。なら大丈夫かなぁ。お医者さんに行く?」

一人で言葉を紡ぐ香織。不思議に思った雄介は尋ねた。

「何で一人で話してるの?っていうか何で分かるの?」

「えっ?雄ちゃん、答えてくれてるじゃん」

不思議なことだが雄介の考えていることが直接香織の頭の中に響いているというのだ、そして香織の意識も雄介の頭の中に入ってきている。

「雄ちゃん、そんな風に思ってくれてたんだね」

雄介は何のことを言っているんだ?と思ったがすぐに分かった。意識の共有によって雄介の想いが香織に届いてしまったのだ。

「ありがとう、すごく嬉しい。恥ずかしいけど、私もこう思ってるんだよ。」

香織の想いが雄介の中に入ってくる。雄介を好きな気持ち、ふがいない雄介への歯がゆさと応援する気持ち、王国を作り上げた雄介への憧れと遠い存在になったような寂しさ。その後の雄介の茫然自失状態への心配やそれでもそばにいようとする決意。香織の暖かさが雄介の心を溶かしていく。「香織…」香織のためにも頑張ろう。雄介はそう思った。

「じゃあ行って来るよ」

「行ってらっしゃい。早く帰ってきてね」

香織が暖かく送り出す。雄介は唯一の趣味であったPCを活かしIT会社に就職した。あの時以来乳首が光ったり意識の共有は出来なくなったが一生懸命働いている。

だが、コミュニケーション力の劣る雄介には困難な場面の連続だった。

「この企画書のこの部分はどういう意味なんだ?」

「あぁ…うぅ…」

「じゃあこのプレゼン頼むな」

「このソフトは、あれ…あぅ…」

言いたいことは浮かんでいるのに伝えることが出来ない。そのことによる失敗ばかりだ。それでも香織のためにと嫌なことも我慢し、がむしゃらに働いた。

そんなある日、雄介に重大なプロジェクトが任された。いつもは小さなプロジェクトの一員として働いていた雄介が大抜擢。今までの苦労が認められたのだ。

「頼んだぞ、雄介。お前なら出来る。」

「ハイ、一生懸命頑張ります」

意気揚々とクライアントの下へと挨拶に向かう雄介。トントン、ノックの後少し張り切ってドアを開ける。

「失礼します、今回このプロジェクトを担当させていただきます雄介と申します。よろしくお願いします」

力強く挨拶をし、顔を上げるとそこには乳五郎王国で従業員として働いていた真一が立っていた

「乳五郎…?」

雄介はハッとした。自分に憧れ、そして失望して去っていった過去の従業員が今回のクライアント。嫌な予感が胸をよぎる。

「よろしくお願いしますね、乳…あ、雄介さん」

真一は含みのある笑いでそう言った。それでも仕事は仕事だ。雄介はグッとこぶしを握りやりきる決心をした。

「では今回のプロジェクトの内容を説明させていただきます。今回は…あぁ…あ、でもここは…」

上手くいかない。話下手な雄介だが今回はいつも以上に話せていない。いつもよりも大きなプロジェクト、そして真一にあったプレッシャーに押しつぶされていたのだ。

「あれー、何してるんですかぁ~?早く説明してくださいよ。それとも乳首が邪魔で話せませんかー?」

真一がそう囃したてる。

「申し訳ありません。このプロジェクトは…えーっと…」

やはり話せない雄介

「何なんですか?あれ?今日は乳首立ってませんね?」

さらに煽る真一。

「仕事に乳首は関係ありませんから」

今にも切れそうな感情を抑えて精一杯冷静に返す雄介。

「でも昔はすごいおっきかったのに今は目立たないっておかしいですよね。見せてくださいよ」

そういいながら雄介に近づく真一。

「関係ありませんから、その話はまた今度」

と返す雄一を無視して雄一のシャツに手を掛け、一気に引っ張る真一。

「うわっやめっ!」

雄一の叫び声とともに破れるシャツ、雄一の素肌が露わになった。みんなの視線が雄一の乳首に集中する。だが乳首は見えない。なんと雄一はバンドエイドを張っていた。

乳首にバンドエイド、着エロアイドルがしているのを見たことがあるかも知れないが30手前のおっさんが乳首をバンドエイドで隠しているのである、しかも浅黒い体に素肌タイプのものを張っているから逆にバンドエイドのほうが色が薄い、素肌って、何?状態だ。

その場にいる全員が絶句する。だが真一は攻撃の手を緩めない。

「雄介さーん、バンドエイドは傷口に張るものですよ。突起物に張ってるから上と下が浮いてるじゃないですかー。」

雄介の乳首の突起でバンドエイドはすでにはがれそうな状況だ、そこに真一の手が伸び、一瞬で剥がしきる。

みんなの前で揺れる乳首、通常の男の乳首よりも大きいが女性の乳首とまではいかない通常比1.4倍くらいの乳首。通常の男性にとってはそんなに恥ずかしいことではない。だが雄介にとってはコンプレックス、今までの人生を左右された乳首をみんなの前にさらされたのだ、だが今は自分だけじゃない、香織の生活もかかっているんだ。我慢しなければ。

さらに真一は続ける。

「♪雄介の乳首は豆乳首、黒乳首、鬼乳首♪ほっぺた黒い♪」

「誰がデブだぁー!!」

もう雄介は我慢ならなかった。抑えていたものが噴出し、上半身裸のまま真一に殴りかかる雄介。顔面、体、何度も殴る、そのうち真一の着衣もはだけて上半身がみえ、乳首が現れた。なすすべもなく殴られ続ける真一。

周りの人たちが雄介を力づくで止める。雄介の上司は平謝り、真一側はどう対応するかを検討している。雄介は自分を失い周りが見えていない状況だ。

これで雄介が仕事を失うのは確実。復讐は達成、真一の思い通りの展開である。ニヤニヤしていると突然プロジェクトの内容が急に真一の頭の中で展開された。それは依頼した以上のものが安価で迅速に完成させられるものだった。そしてそれは雄介の意識の情報だということもすぐに分かった。

雄介の元に駆け寄る真一。そして我を失っている雄介にプロジェクトについての詳細を問いただす。するとさらに展開されるプロジェクトの全容。それは完璧なものであり、言葉を介さずに意識を伝達しているため誤解や言葉の齟齬などなく伝わった。

そう、意識の共有はお互いに乳首を露出した状態であればいつでも行えるものだったのだ。

「すいません、僕が全部悪かったです、今のことはなかったことにしてください。雄介さんと仕事をさせてください。」

真一がそう叫ぶ。雄介のプロジェクトを感じて、これを中止させるわけにはいかない、一緒に仕事がしたい。と思ったのだ。

そうまで言うならとこのことは不問に付され、雄介と真一は一緒にプロジェクトを遂行し、大成功を収めた。そして二人で会社を興し、今では世界中で利用されるPCのソフトを作っている。

「さぁ今日も会議だ、頑張るぞ」

「そうですね、次のOSやIMEなど世界中の人たちが待ってますからね」

そう言って会議に参加する人たちは上半身服を脱ぐ、意識共有のためにマイクロソフトでは会議の際は上半身裸という決まりになっているのだ。そのためIMEで変換すると「乳首で会話」となるのである。

うん、乳首デカいのもそう悪くないかな。

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