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2008年12月27日 (土)

幻の雨と心の雨

雨は人の感情を呼び起こす。

雨降りの朝はどんよりとした気分になるし、
休日のしとしととした雨は落ち着いた気分になる。
学生時代にマラソンがある時などは雨はうれしかったし、
遠足のときなどは雨が降らないように祈っていた。

多くの人が雨に関する記憶、思い出を持っていることだろう。
その時も雨が降っていた。

バシャバシャバシャ

窓から聞こえる雨の音で目を覚ました。
雨か、仕事に行くのが面倒だな。と、思った。

ちょっと見てみたら雨じゃない、洪水だ。洪水ってか小便だわ。
パッと目覚めて7割方出てた。気持ちよさは当社比二倍。なんじゃこりゃっ。
でも全部出ちゃったわけじゃない。さすがに大人、3割は残ってる。
危ない危ない。

子供なんかは全部出た後で気づくもんだ。あ、僕オネショしちゃったと。
後の祭りだ。どうしようもない。寝てる時に地震があって気づいたら
家具の下敷きでした。ってなもんだ。

そして考える、大人の僕が、寝起きの頭でどうすれば被害が
少なくなるか、考える。

それにしても気持ちいい。気持ちいいなって思ってたら出ちゃった。
残りも全部出しちゃった。なんなら最後のほうは自分の意志で出しちゃってた。

あはぁ…とかいいながら自分のベッドでオネショしてる22歳(当時)
客観的にみるとかなりヤバい。なんかクスリでもやってそうだ。

だがこれは、地震に備えて起きたけれどもマンション自体が倒壊した
様なもんだ。なす術がなかった。どうしようもない。これは不可抗力だ。

オーケー、オーケー、起こったことじゃない、大人として重要なのは
この後の対処だ。まず初めに窓から外を眺めた。

雲ひとつない晴天だ。さっき雨の音がしてたなんてありえない。
実際に地面も濡れていない。

「雨降ってたんじゃねーのかよ!!ふざけんなよ!!!」

なぜかキレてる。俺、激怒。もう雨が降ってたからお漏らししてやったのに
降ってないとはどういうことだ!俺のオネショを返せ!!とか
言いだしそうな勢い。確実にオネショを雨のせいにする気満々。
雨が降ったらオネショしなきゃいけない世界に住んでるような発想だ。

抑えきれない怒りを抱えつつも素早く対処しなければ、
今は何よりも迅速な対応が求められる。
なぜなら、横を見れば彼女が寝ているのだ。

夜は「何このシミ?オネショ?」「違うもん><」みたいな会話をして
いながら朝には実際に僕がおねしょをしている。
どんなプレイだ。絶対に気付かれてはならない。

幸いにも彼女は全く気付かずにすやすや眠っている。
そーっと、そーっとベッドから出てバスタオルを取ってくる。
したばかりなので結構ふき取れるが、見れば一瞬で気づかれるだろう

ドライヤーで乾かすか、否、事は秘密裏に行わなければならない。
ではどうする…ざわ…ざわ…ここは俺に任せろ。
やはり頼りになるのは俺。オネショをしててもさすがは俺。

バスタオル敷いてもう一度寝た。

「んん…おはよう」

彼女の声で目が覚めた。

「あ、おはよう」

気付かれて、いないッ!昨日の夜にはなかったバスタオルが
ベッドに敷かれているのに、なんなら匂いが、アンモニア臭が
漂っててもおかしくない部屋で。爽やかな目覚めだ。

勝った。完全勝利だ。

子供はおねしょをしてもなすすべなく過ごし、母親に怒られ、
なんなら友達に馬鹿にされ自分の無力さを実感し、オネショを
してしまった自分嫌悪するものだろう。

だが僕は乗り越えた。オネショをしても誰にも気づかれない。
たとえ、横で人が寝ていても、だ!

これほどまでに大人になってよかった、成長に感謝したのは初めてだ。

もう僕は恐れるものなど何もない、万能感に包まれ、
友人にもこの勝ち戦のあらましを伝え、宴に酔いしれ、
この世の春を謳歌した。

だが、大人の敵は大人だった。家に帰ると彼女がどこかおかしい。
まさか、ばれたか…いや、証拠は、ない。ばれる筈がないんだ。
冷静に様子を見よう。

「何か隠し事してるでしょ?」

なにぃぃぃいぃぃ!?気づいて、いた!?まさか、そんなことは…
彼女がほかの事を指している可能性もあるがその時の僕には
そのことしか考えられなかった。

「いや、隠し事なんて何もしてないよ」

信じていない。怒るというよりも悲しむ、憐れむようなトーンで話す彼女。
まさか、まさか。

「○○○が言ってたよ。何か隠し事してるって」

さっきその話をした友人だ。アイツめ…いきなり言うか、普通。
どう乗り越える、どう乗り越える。考えろ、考えるんだ。
現場を乗り越えた俺だ、今回乗り越えることなんて簡単だろう。

適当な隠し事っぽいことを、実は…って話してみたが、
まったく信じてもらえない、女性の勘というものは本当に恐ろしい、
普段ポーっとしているように見えてもこういうときには
見抜くものなのだ。

もう無理だ、彼女は泣きださんばかりの勢いになっている。どうしようもない。
というか、めんどくさくなってきた。もう全部、伝えてしまえ。

伝えた。全部伝えた。ここに書いた以上の情報量、マシンガントークでもって伝えた。
その間彼女は何も言わず、頷きもせずにただ聴いているだけだった。

これはもう駄目かもわからんね。何を言っても反応がない。お互い何も話さず
しばらくの沈黙の後に彼女が口を開いた。

「オネショしてくれて、よかった」

その時彼女の目から涙という雨が降っていた、
彼女が雨が降ったらオネショしなきゃいけない世界の住人か。

というかなんの願望だ

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